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七十二候「乃東枯」~なつかれくさかるる
今の時期、暦の上では「乃東枯」(なつかれくさ かるる)と呼ばれます。
この「夏枯草(ウツボグサ)」という名の植物。
名前の通り、紫色の花が咲き終わると、あっという間に茶色く枯れてしまう姿から、そう名付けられたそうです。
一見、姿を消したように見えますが、冬至の頃にはまた芽吹き、春への希望をつないでくれるのです。
また、「乃東」という表記もされ、古の人々は、これから訪れる春への願いをこの小さな草花に重ねたと言います。
かつて、里山や野山で当たり前のように目にできたウツボグサも、今では都市化が進み、身近で目にする機会が減ってきました。
もともとその名も、弓矢を入れる「靫(うつぼ)」という武具の形に似ていることから名付けられたそうです。
そう聞くと、自然の姿だけでなく、名前からも、遠い時代の面影が蘇るようです。
むくみや炎症を改善する生薬としても役立つウツボグサ。
身近であればこそ、暮らしの中で頼りにされてきたのでしょう。
暦の名となるだけあって、私たちの生活と共にあった大切な植物なのです。
段々と季節が崩れてきているこの頃です。
身のまわりの自然をゆっくりと眺めながら、四季の移ろいと共に過ごせる時間を大事にしていきたいものですね。